僕は高校に在籍していた頃、不良グループの仲間に入っていました。
そのグループはもう、口では言えないくらいに酷い事をしていて、警察のお世話になる事もしばしばありました。
僕の親は学校に迷惑を掛けまいと、僕を中退させたのですが、僕自身も正直かなりキレてしまって、家で暴れまわりました。
でも元々学校ではロクに勉強もしてなかったし、行かせるだけ無駄だと自分が親の立場だったら思います。
でも中退したからと言って、生活態度が特に改まる訳でも無く、親たちは見るに見かねて、僕を更生させようと、あるお寺に預けられる事になりました。
当然抵抗はしましたが、母親は泣き出すし父親はそっぽを向いたままだし、こんな家にいてもイラつくだけだと思って、半ばヤケクソに寺に行ったのを覚えています。
お寺に行ってからは、後悔の連続でした。
朝は早起きしなくちゃいけないし、広いから掃除も一苦労です。
規則正しい生活を不良の自分が強いられたら、当然反抗するのですが、同じく預けられた人達の中に、僕より強くてガタイの良い奴がいて、そいつが場を仕切っている状況でしたから、抵抗する事も叶いませんでした。
でも普通に考えれば、難しい事をやらされている訳じゃなくて、人間らしい生活を送れる様に矯正しているだけなので、1週間2週間と日を重ねる毎に、その生活も大分慣れていきました。
お寺だからって精進料理を毎日食べる訳でも無いし(食べる日もありますが)、不良以外の人間とも交流する事で、いつの間にか穏やかな性格に変わっていった自分がいる事にも気付きました。
無事更生出来ただろうと判断され、僕は実家にようやく帰る事が出来たのですが、それまで実は両親と一切会わない様にしていたので、僕の変化を両親が目の当たりにしたのは、その時が初めてでした。
両親、と言うか母はオドオドしながら僕に近付きましたが、「ただいま」と言ったら、わっと泣き出して玄関に座り込んでしまいました。
その後、父が帰宅して、あまり話はしなかったのですが、僕の就職先を見つけてくれていたみたいで、父は自分に関心が無かった訳じゃ無いと悟る事が出来ました